■なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか/藤原 智美(祥伝社)
「四角い川」を描く、「ひとつ、ふたつ」も数えられない、「三角形」が描けない、「目」をつぶれない、そして言葉が出ずにすぐ「キレる」…いま、そんな四〜五歳の幼児が出現しています。 小学校の学級崩壊が問題となって既に久しいですが、小学校1年生のクラスで学級崩壊が起きているということは、実は、小学校に入る前の6年間に既に問題が起きているはずなのです。 あまり語られることもなく、知られていない「幼児に起きている新しい現実」を、『「家をつくる」ということ』の著者であり、芥川賞作家である藤原智美氏が、探っていく、ドキュメンタリーです。 子どもの危機は、社会の危機です。ぜひ、多くの人に読んで頂きたい一冊です。<出版社より> 「過剰な早期教育の影響か?」「異なる年齢での集団遊びをしなくなったから?」「行き過ぎた母子密着育児が原因?」等々、過去の事例を持ち出して本論を展開。いささか強引な結論付けではあるものの、ここ十数年で子供に対する教育の仕方が様変わりしたということと、それと共に様々な子供の異変が確実に進行しているということに怖さを感じた。ここに挙げられているのはほんの一例にしか過ぎないのだろうけど、いろいろと話題になる今の十代が「天才ですから」と言われてしまうぐらいに問題のある幼児って…若い奴はダメだと昔から言われていますが、コレは本当に救いようがなく「ダメ」なんじゃないのか?と10、20年後にくる社会を考え背筋がうすら寒くなった。 ここで問題にしている世代のお子さんがいる人や教育熱心な親御さんは読んでみるべきかと。 ただ、話の切り口は面白いのだが最終的には自分の意見だけにとどまってしまい、もう一歩踏み込んだ形で取材すればもっと深みがましたのに(なぜ腕を描かなかったのかと直接子供に聞いてみればよかったのでは?と思ったりして)いささか残念かと。そうであっても下手なホラー小説よりよっぽど怖さを感じる一冊だと思います。 忘れてはいけないことはただひとつ。「子どもは手をかけるほどいい子に育つというのは、幻想にすぎない」<本文より>
by phlogiston-76
| 2005-10-31 13:07
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