■くらやみの速さはどれくらい/エリザベス・ムーン(早川書房)
医学の進歩した近未来。自閉症は幼児期の治療によって治るようになっていた。 製薬会社に勤める主人公のルウは治療を受けられなかった自閉症最後の世代。 光やにおいに敏感過ぎたり、人の表情が読みとれなかったりと 苦労は絶えなかったが、ルウの生活は順調だった。 新任の上司が新しい自閉症治療の実験台になれ、と言ってくるまでは…。 21世紀版『アルジャーノンに花束を』と評された2004年度ネビュラ賞受賞作。 「ノーマル」であることとは一体どういうことなのか。 自閉症者ルウの視点から語られる物語は様々なことを問いかけてくるよう。 (これが本当に自閉症者が見ている世界かどうか知りようがないのだけれども。) この作品が『アルジャーノンに花束を」と比べられるのは分かるが 本質的には違うベクトルのものだと思う。 読後の感覚はこちらの方が遙かに複雑で深い感覚を残した。名作、だと思う。 自分が自閉症かも?と思ったのはナイショだ。
by phlogiston-76
| 2005-01-05 20:19
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