■リレキショ/中村航(河出文庫)
大切なのは意思と勇気。それだけでね、大抵のことは上手くいくのよ —"姉さん"に拾われて"半沢良"になった僕。ある日届いた一通の招待状をきっかけに、いつもと違う世界が、ひっそりと動き始める。深夜のガソリンスタンドが世界を照らし出す、都会の青春ファンタジー。第39回文芸賞受賞作。 ちょっと変わった主人公がちょっと変わった女の人に拾われて、ちょっと変わった女の子と知り合って。主人公の過去は何も語られぬまま物語は進み、一見、新たな人生への希望を見せるかのように物語は幕を閉じる。 読了後、略歴を見て著者が自分よりも年上ということに驚いたが、一読して思ったのは自分の肌には合わないな、ということ。高校の頃に読んでいたらまた違った感想だったかもしれないが所々で引っかかり、内容に引き込まれる以前に些末な部分の表現(「りれきしょー」とか"スイッチヲ イレタ ヒューン"とか"しゅわしゅわ、ピース"等)が気になってしまった。あと、そこはかとなく村上春樹臭を感じたり。 以下、R_76さん作成レジュメに回答?な感じで。 ・この作品を色で表すとしたら? 灰色。黒にいくら白を足していっても決して純白にはならず、何処までいっても灰色。僕が"半沢良"と名乗っているかぎり、それは偽りであって逃避でしかなく。(新たな人生が姉さんの言う大抵のことに当てはまらないのを何処かで感じているようにも思う。)白に近づきたいのに白になれない灰色? ・「履歴書」と「リレキショ」の違い 作中に出てくるバイト先に提出した履歴書、こうありたいと書いたリレキショの両方は「半沢良」のものであって僕本人のものではない。だからさほど2つの履歴書は重要ではなく、重要なのはこの本自体で、"僕"が僕本人に戻り、前に進むために書いたリレキショ(回顧録)なのでは?と思ったり。(出会って幾らも経っていないはずの人の言葉を"いつだって"と言ったり、時系列にそって一人称で語られているのに履歴書を書く直前とウルシバラとの出会いの場面だけ"そのとき"という過去表現になっている部分等々。説明がないのは僕自身がこうなった理由も原因も知っているからで、僕にとってはすでに過去のものになっているから?) ・色をつけるか、つけられるか (? 最初のと同じ? ・「僕」の柔軟性 19歳と言って問題なくバイトが決まったということは十代後半…低くても16〜17歳くらいか? 40歳に見える人に対して学生ですか?とオウムの様に聞き返し、28,000円もする灰皿を気に入ったからとポンっと買う。ビールも飲んだことがなく、煙草も同様。"姉さん"がもてないと聞いたら驚くのに、他人であるハズの当人に性的欲求を抱かない。(姉弟だからとすんなり割り切れるもの?)柔軟性というより若さ(無知?)からくる行動、もしくは思い込みの強さとでも言うのかな? とりあえず主人公の思考回路は理解しがたいと思いました。こんな十代いない…よね?
by phlogiston-76
| 2005-12-01 01:59
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